石垣と土塁

(5)石垣と土塁

 ②土塁

土塁は、古代から近世にかけて、陣地や環濠集落、城や陣屋周辺を取り囲む為に、土を堤防のように盛りあげて造ったもので、平地では土を掻き上げて土塁を造ったので、掻き上げた跡を堀として活用しました。

 

土塁は、古くは土居とも言われたようで、最も広範囲な土塁として有名なのが、豊臣秀吉が築いた京都聚楽第の「御土居」です。これについては、詳細を後述します。

 

また、城を広範囲に防衛するための「総構え」の周辺に造営したり、曲輪(郭)の周辺を取り囲む目的で造営したものがあり小田原城や会津若松城などが有名です。

 

天守台や櫓台でも、土塁で構成しているお城があり、関東以北のお城に多く見られます。下に掲出している写真を見てもらえば実感できると思います。

 

土塁の種類には、造り方による種類の他に構造上からの種類があります。

 

    分    類     名    称             説     明

 ①造り方による種類

1)たたき土居 粘土や小石を土に混ぜて、突き固めて築いたものです。
2)芝土居 法面(のりめん)の崩れを防ぐために、芝を植えて築いたものです。芝は、根が張ると土を押し固める効果があり、たたき土居より斜面を急にすることができました。

 ②構造上の種類                               

3)腰巻石垣 土塁の下部だけ石垣を築いたもので、一般的には水堀から立ち上げる部分に石垣が使われ、土塁の崩れや土の流れ出しを止める効果がありました。また、石垣の節約にもなりました。

4)鉢巻石垣

土塁の上部だけ石垣を築いたものです。
5)鉢巻腰巻石垣

土塁の上部と下部の両方に石垣を築いたものです。

1)たたき土居 2)芝土居    

 造り方による種類では写真で区別しずらいので、一緒に掲出します。

以下の写真をクリックすると、住所や概略がわかります。

 ↓モロラン陣屋       ↓モロラン陣屋       ↓戸切地陣屋        ↓白老陣屋        ↓五稜郭         ↓五稜郭

 ↑松前城          ↑弘前城          ↑弘前城          ↑久保田城        ↑山形城          ↑山形城

 ↓本荘城          ↓鶴ケ岡城         ↓鶴ケ岡城         ↓出羽松山城       ↓米沢城          ↓新庄城

 ↑新庄城          ↑村松城          ↑棚倉城          ↑棚倉城         ↑宇都宮城         ↑宇都宮城

 ↓黒羽陣屋         ↓太田原城         ↓太田原城         ↓中村城         ↓中村城          ↓水戸城

 ↑笠間城          ↑館林城          ↑前橋城          ↑前橋城         ↑高崎城          ↑川越城

 ↓福島城          ↓下間陣屋         ↓牛久陣屋         ↓壬生城         ↓壬生城          ↓佐倉城

 ↑忍城           ↑飯野陣屋         ↑久留里城         ↑春日山城        ↑春日山城         ↑春日山城

 ↓七戸陣屋         ↓松岡城          ↓田中城          ↓相良陣屋        ↓刈谷城          ↓松代城

 ↑高田城          ↑高田城          ↑山家陣屋         ↑西条陣屋        ↑福岡城          ↑飫肥城

 ↓佐賀城          ↓柳川城

3)腰巻石垣

 ↓五稜郭          ↓弘前城          ↓久保田城         ↓本荘城         ↓沼田城          ↓龍岡陣屋

 ↑彦根城          ↑篠山城          ↑福岡城

4)鉢巻石垣 5)鉢巻・腰巻石垣

 ↓江戸城          ↓彦根城

 ③総構えの土塁

城下町を広範囲に防衛するために「総構え」を設けたお城がありますが、その周辺に土塁と堀を設けて完璧な防御を目指しました。

 

最も広範囲な土塁として有名な豊臣秀吉が築いた京都聚楽第の「御土居」(約22㎞)の他、近世のお城でも、会津若松城(約7㎞)や小田原城(約9㎞)などにも土塁が導入されています。

 

 1)御土居

2)その他総構えの土塁

 ↓会津若松城        ↓中津城